
私はこれまで、数多くの本を世に送り出してきました。
読者の人生を豊かにするために文章に向き合い続けてきましたが、一方で私自身は“ノウハウコレクター”として騙され続けてきた男でもあります。
そんな私のもとにも、ついに届きました。
「おめでとうございます。100ビットコイン当選です」
という、あまりにも出来すぎた連絡が。
死を宣告されても生き延びた私からすれば、こうした詐欺は“生の執着”を利用した非常に巧みな罠だと感じます。
本稿では、出版人として情報の裏側を見続けてきた私が、
100ビットコイン詐欺の構造と、その奥に潜む“心理の物語”を深く掘り下げます。
なぜ「100ビットコイン当選」は多くの人を惹きつけるのか
詐欺の基本構造は、古今東西ほぼ変わりません。
出版業をしていると分かるのですが、人は
「あなたにだけ特別に」
という言葉に、本能的に心が揺れます。
100BTCなど、今の相場なら数十億円。
そんなものが突然“当選”するわけがない。
頭では理解できるのに、感情が先に動く。
これは「死の宣告」を受けた時、
私が“生きたい”と強く願った瞬間と同じ構造です。
人は、本能の刺激に抗えないのです。
詐欺師はその「欲望ではなく、弱さ」を完璧に突いてきます。
100BTC詐欺のビジネスモデル
──これは“犯罪”であると同時に“設計されたビジネス”でもあります。
フェーズ1:信頼のストーリー構築
詐欺師はまず、
・有名企業を名乗る
・大手プロジェクトを装う
・著名人のなりすまし
・洗練されたデザイン
これらで「信頼の土台」を作ります。
出版で言えば「権威づけ」です。
フェーズ2:感情の揺さぶり
「抽選であなたが当選しました」
「数万人の中から選ばれました」
特別扱いは人を盲目にします。
詐欺師は人の“希望”を利用する。
私はこれを「心理シナリオ」と呼んでいます。
フェーズ3:小額決済で“関係”を作る
ここがビジネスとして非常に巧妙です。
・受け取り手数料
・認証費
・送金処理代
最初は2,000円〜5,000円程度。
出版の世界でも「初版の安い値付け」は購入のハードルを下げますが、詐欺も同じ。
人は一度払うと「続けてしまう」。
これが“サンクコスト効果”です。
フェーズ4:金額を段階的に引き上げる
詐欺師の利益はここからです。
「手続きに問題があり、追加料金が必要です」
「税金が未払いです」
「ウォレットの凍結解除費が必要です」
この“連続請求”こそが利益構造。
詐欺を行う側からすれば、
「1人から最大限搾取する」ことがビジネスの最終目的。
犯罪ですが、合理性は極めて高いです。
フェーズ5:突然消える
限界まで搾取したらアカウント削除。
出版社としての感覚で言わせてもらうと、
“完結のタイミング”まで計算されているのです。
心理学から見える「なぜ騙されるのか」
私自身、情報商材で散々騙されてきました。
だからこそ断言できます。
詐欺は「欲に負けるから」ではなく
“弱っている心につけ込まれるから”成立するのです。
●心理1:「救われたい」という願い
借金
副業の失敗
将来不安
家族の心配
これらが積み重なると、“わずかな光”に縋りたくなる。
希望というのは、人を動かす最強の力です。
詐欺師はそれを使います。
●心理2:「損したくない」という恐れ
サンクコストの罠。
「ここまで払ったのに、やめたら損だ」
この思考が人を沼に引き込みます。
私が何十万もする情報商材を買い続けた頃と、全く同じ心理です。
●心理3:孤独
詐欺に遭う人の共通点は、「相談できる相手がいない」こと。
出版でも同じ。
本は“孤独な人に寄り添うもの”ですが、
詐欺師は“孤独な心を利用するもの”です。
副業をするなら、詐欺の反対側へ行かなければならない

100BTC詐欺の構造を分析して気づいたのは
副業で成功するための本質と“対極”にあるということです。
詐欺ほど
・即金
・派手
・リスクゼロを装う
ものはありません。
しかし健全な副業は
・小さく始める
・積み上げる
・学びが資産になる
という地味な道。
私自身が最も反省したことでもあります。
「死を宣告された私が、副業で学んだ本質」
──それは“積み上げる時間が、人生そのものを作る”ということ
末期癌と宣告された時、私は
“この先の時間をどう使うか”
という問いを突きつけられました。
詐欺は「時間を奪う」。
健全な副業は「時間を育てる」。
この違いこそ、私が副業に向き合う理由です。
100ビットコイン詐欺を避けるための「出版社的思考法」
出版の世界では、
「誰が、何のために、どのように利益を得るのか」
を常に考えます。
これを詐欺に当てはめると、こうなります。
1. 発信者の利益構造は何か
100BTCを“渡す側”のメリットは?
通常、あり得ません。
2. 情報の裏側に“物語”が作られていないか
詐欺は必ず「あなたを選んだ理由」を作る。
出版における“フィクションの手法”と同じです。
3. 手続きを複雑にするのはなぜか
人は混乱すると判断力が落ちる。
詐欺が多用する技法です。
4. 感情を揺らす演出は何か
“限定”“当選”“特別”
感情操作の典型。
5. 「すぐに決断を迫る」=詐欺の証拠
出版で言えば、読者に考える時間を与えない構造。
時間を、もう騙されるためには使わない

私は死を宣告された身です。
だからこそ、残りの時間で
・誰かの心を支える文章
・人生を立て直す知識
・本当に役立つ副業の視点
を届けていきたいと思っています。
100BTC詐欺は、人の弱さにつけ込む構造です。
しかし人は、弱さがあるからこそ助け合える。
私はこれからも、
過去に騙された自分を肯定しながら、“これ以上騙されない生き方”を伝え続けます。
あなたも、どうか自分の時間を奪われない選択をしてください。